「美的労働(エステティック・レイバー)」という言葉をご存知でしょうか?これは、アパレル店員、美容部員、テーマパークのキャスト、ホテルのフロントデスクなど、企業が求めるブランドイメージに合わせて「自分の容姿、スタイル、立ち振る舞い、言葉遣い」を作り上げ、維持することを求められる働き方のことです。
【美的労働ならではの3つの特徴】
1つ目の特徴は、「従業員の存在そのものが商品価値になること」です。
ただ商品を売るだけでなく、歩き方ひとつ、声のトーンひとつで「そのブランドらしさ」を体現し、顧客に非日常の世界観や憧れを提供する、動く広告塔としての役割を担っています。
2つ目は、「就業時間外の『隠れた自己投資』が発生すること」です。
店頭に立つために最新のトレンドを押さえた服を自腹で購入したり、ブランドイメージに合わせたメイクやネイルを研究したり、体型を維持するためにジムに通ったりと、お給料には直接反映されないコストや努力が常に求められます。
3つ目は、「見られることへの持続的なプレッシャー」です。
勤務時間中は常に他者の視線を意識し、「理想のスタッフ像」を演じ続けなければならないため、精神的な消耗も決して少なくありません。
「ただ綺麗に着飾っていればいい仕事」と軽く見られることもありますが、それは大きな誤りです。自分自身をキャンバスにして企業の価値を最大化する美的労働は、強靭なプロ意識と日々の見えない努力の上に成り立っている、高度なブランディング戦略なのです。